2011年1月の御題について

「白梅想」の御題は万葉集2330(巻十)作者未詳
「妹がためほつ枝の梅を手折るとは下枝の露に濡れにけるかも」

「露を読む」との題詞のある歌で、口語訳すれば、「恋人のために梅の木の高い枝を手折ろうとして低い枝の露に濡れてしまったことだよ」といった感じでしょうか。

実体験か宴席歌か分かりませんが、「梅」としてはこのような迷惑行為をどう思うのでしょうか?例えば歌の主を「ちょっといいな」と思ったとしても、本気で執着したり、妬いたり憎んだりするには、生きている時間軸も世界観もあまりに違い過ぎることでしょう。
己の身の一部を奪われることも、もしかしたら子どもを許すように許してしまうのかも知れない。

……そんな他愛ない妄想から、このうたを書いてみました。

「雪鳥」は晩冬の季語で、「雪中に乏しい餌を求めながら生きる鳥」のことなのだそうです。(三省堂『連句・俳句季語辞典 十七季』第二版より)