2011年8月の御題について

「かぜのうた」の御題は万葉集1068(巻七)
「天の海に雲の波立ち月の舟星の林に漕ぎ隠る見ゆ」

柿本人麻呂歌集から採られたものです。「天を詠む」との題詞がつけられています。

万葉集中ではどことなく異色に響く歌で、初見のとき、古典の歌というよりも御伽噺に出てくる呪文のような印象を受けました。その後偶然、ネット上で古典好きの方たちのコミュニティへの書き込みから知ったことには、万葉時代このように「天なるもの」が読み込まれた歌は他に無いのだそうです。

そんなことから、このうたも「空なるもの」を沢山採り入れて、動物が主人公になっている童謡のような雰囲気をめざして書いてみました。

8月にはちょうど、地域の森でエゾニワトコの実が赤く色づきます。

「糊卯木(のりうつぎ)の花」は晩夏の季語です。以前、地域の森の草刈りボランティアに参加した時、ちょうど、白い花房を空へ差し出すように咲いていました。