2012年4月の御題について

「清流<せいりう>」の御題は万葉集925(巻六)山部赤人
「ぬばたまの夜の更けゆけば久木(ひさぎ)生(お)ふる清き川原に千鳥しば鳴く」より

口語約すると「夜が更けてゆき、アカメガシワの生えている清い川岸には数多(あまた)の鳥がしきりに鳴いている」といったところでしょうか。

しばしば天皇の行幸先となった吉野離宮を賛美する歌として詠まれたものです。
古来、草木が盛んに生い茂る様や、鳥が盛んに鳴く様はめでたいもので、そうした光景に触れることは自然の生命力を身の内に取り入れる魂振り的行為だったそうです。

このうたを書きながら私が願ったことはひとつでした。
生い茂る森、清らかな水が流れ、鳥たちが歌う場所が、これからもこの国に残されること。

「真木」は「立派な木(特に杉や桧)」、「羅(ら)」は「薄絹」、「纏ふ」は「巻き付く」、「統(す)べる」は「統治する」、「嫩葉(どんえふ)」は「芽を出したばかりの柔らかい葉、若葉」のことだそうです。

「まねきねこ」は何年か前に書いたもので、御題は縁起物の「招き猫」。

ただ無性に、気楽でかわいいうたを書きたい気分だったときに書いたものです。
どこかのお店の暖簾の模様を見ていて思いついたように記憶しています。