
2010年11月の御題について
「雪遊び」の御題は万葉集1646(巻八)小治田東麻呂
「ぬばたまの今夜(こよひ)の雪にいざ濡れな明けむ朝に消なば惜しけむ」
「明日になって消えてしまったら惜しく思われるだろうから、今宵のこの雪に触れて濡れようよ」というこの歌を見つけた時、何やら微笑ましくなって、少し下った時代の町屋に暮らす子供たちを空想して書いてみました。
「遊び」は「神事」。こんな現忘れの一夜に、いつの世にも、時折舞い降りて来て欲しいものです……。

一般には「雪」は晩冬の季語、「初雪」は仲冬の季語ですが、雪国ではさにあらず。歳時記でのいわゆる初冬から晩春まで、雪、雪、雪に埋もれます。葉を落とした森に降り積む雪も好きですが、晴れた空にはらはらと舞う風花にも風情を感じます。
