2011年9月のあはひうた

      万葉集2173(巻十)
「白露を取らば消(け)ぬべしいざ子ども露に競(きほ)ひて萩の遊びせむ」より

御題等について、詳しくは補記をご覧ください。

萩遊び

  城跡残る岡の町
  落書白い坂道の
  露きらきらと秋風に
  揺れては撓(しな)ふ萩の頃
  招(を)く枝の波続きます

  鳥啼き帰る夕暮れの
  落書白い坂の上(へ)に
  望月(ばうげつ)掛かる帰り道
  今日(けふ)の終(をは)りの手のひらを
  濡らすともなくきらきらと
  鼈甲(べつかふ)色の陽(ひ)を受けて
  下枝(しづえ)に露は光ります

  今紫の花びらに
  ざやめく枝に結び初(そ)め
  この夜(よ)一夜(ひとよ)をきらめかし
  何処へか消えて逝く露に
  沐するやうな萩の道

  露と競(きそ)ひて ひとときを
  揺れては撓ふ萩に添ひ
  匂(にほ)ふその枝くぐります
  昨日(きのふ)に変はり逝く今日を
  上枝(ほつえ)に掛けて忘れ去り
  日の沈むまでこの道の
  照り合ふ花と戯れて

  遥かに川面きらめいて
  銀輪 橋を渡ります
  残る日差しの紫の
  遊ぶ坂道 帰り道
  空はだんだん暮れてきて
  びゆうつと夕風吹いてきて
  忙(せは)しく揺れる露きらきらと
  結ぶそばからこぼれます

      季語「粟(あは)」より

  あの草原の背高のつぽ
  はみ出してるよ そのあたま